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本屋大賞2004年 2位:『クライマーズ・ハイ』横山秀夫

クライマーズ・ハイ
横山 秀夫
文藝春秋
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『クライマーズ・ハイ』の内容の紹介

硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫が、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げた。常に新しい手法を模索し手抜きを知らない著者の、会心の力作だ。

組織と個人の軋轢、追う者と追われる者の駆け引きなどを緻密な筆でつづり、水際立った展開で読み手を引きこむのが横山の持ち味である。しかし本作では、あえてその筆の巧みさに自ら縛りをかけ、実体験をベースに抑制の効いた渋い群像小説となった。トリッキーな仕掛けや、えっ、と声が出そうなスリリングな結末、といったものはない。練りに練ってこれ以上は足し引き不可能な研ぎ澄まされた文章で、未曾有(みぞう)の大事故に決然と立ち向かい、あるいは奔流を前に立ちすくむ人間を描いている。

地方新聞の一筋縄ではゆかない、面妖と言っても過言でない人間関係、ひりひりした緊張感。おそらく横山自身が体験したのであろう新聞社の内幕はリアルで、読み止めを許さない。過去に部下の新人がなかば自殺の事故死を遂げた負い目をもつ主人公は40歳の遊軍記者だ。大惨事の現場にいち早く到着し、人間性のどこかが壊れてしまった26歳の若手記者や、現場雑感の署名記事をつまらぬ社内の覇権争いでつぶされる33歳の中堅記者、「下りるために登るんさ」と謎の言葉を残して植物状態になった登山家の同僚――どの登場人物も、著者の一部であり、また思い通りにゆかない人生を懸命に生きる、すべての人間の一部でもある。

本作は、普通に捉えれば著者の新境地だろう。しかし、これはむしろ横山が元々、奥深くに抱いていたものではないか。著者は本書を上梓することで、自身も過去に決着をつけようとしている印象を強く受ける。やや明る過ぎて物足りない感のある結末も、聖と俗を併せ持つ人間にもっと光を当てたい、救いたいという願いであり、そしてなにより著者自身が本作を支えに新たな一歩を踏み出すためのものだろう。また、そうであってほしい。



著者「横山秀夫」について

上毛新聞社に入社し、以後12年間の記者生活を送る。1991年に「ルパンの消息」で第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞し、これを契機に退社。以後フリーランス・ライターとして『週刊少年マガジン』にて漫画原作(ながてゆか作画『PEAK!』など)や児童書の執筆、ときには警備のアルバイトなどをする。

* 1998年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞。

* 2000年「動機」が第53回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

* 2002年「半落ち」がこのミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得する。

* 2003年、直木賞候補作となるが、選考委員の北方謙三が、この小説中で重要な鍵となる要素について実際に関係機関に問い合わせたところ、現実ではありえない、という回答を得るに至り、北方は選考会でこの回答を報告、「半落ち」は現実味に欠けると批判され落選した。また本作が数々の賞を受賞したことに対して、選考委員・林真理子が講評の記者会見で「欠陥に気づかず賞を与えた業界も悪い」とミステリー業界を批判し、のちに雑誌で「欠陥があるのに売れ続けるなんて、読者と作者は違うということ」と読者をも批判した。目黒考二は選考委員を非難し、「直木賞にそこまで権威があるのか」と論議が起こる。横山はミステリー作家たちだけでなく読者までもが侮辱されたと反論し、直木賞と訣別宣言をする。後日欠陥と指摘された事項について、この作品の場合必ずしも当てはまらないことが判った。同作品は2004年1月に映画化(監督は佐々部清)された。横山は法廷記者としてエキストラ出演している。 「クライマーズ・ハイ」は、著者が記者時代に遭遇した日航機墜落事故取材の体験をまとめあげたもの。小説のなかに出てくる「北関東新聞」が「上毛新聞」のことである。ただし、作中で上毛新聞は、北関東新聞の競争相手として何度か登場している。



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